この記事では、曲の中で魅力的なビブラートをかけるための方法を解説します!
T先生、ビブラートの練習してるんだけど、なかなか上手く出来ないニャ
おや。どういうところが上手くできないの?
例えば曲を吹きながらビブラートをかけたりとか、かけても変な感じになったりとか・・・
なるほど。確かにビブラートの基礎を練習しても、曲の中で使おうとするとどうやっていいか分からないよね
実は、曲の中でビブラートをかけるには、メロディに相応しい自然なビブラートが必要です
今回は自然なビブラートをかけるコツと、練習方法を解説します。
ビブラートを2つの要素に分ける
抑揚の幅
抑揚の幅はまずp(ピアノ)やf(フォルテ)といったダイナミックに従います。
こちらの基礎練習では、ビブラートはロングトーンはアクセントの連続と考えると説明しました。
pの時のアクセントと、fの時のアクセントでニュアンスが変わるように、ビブラートも変化します。
例えば、pのメロディは抑揚が小さく、fのメロディは大きいという感じです。
回数
回数は、一定の時間内に入る抑揚の数です。
これは例えば、音の高さで変わります。
ハープの高音は弦が短く、弾くと素早く振動します。逆に低音は弦が長くゆっくり振動します。
ビブラートも同じく、高音は回数を多く、低音は少なく入れると自然に聞こえます。
また、感情の昂りにも比例します。
緊張したり、興奮したりする場面では心臓の鼓動が速く打つように、感情が高ぶるフレーズやメロディはビブラートの回数が増えます。逆に落ち着いた、安らぐ雰囲気の曲はビブラートの回数は少なくなります。
落ち着いた曲なのにビブラートの回数が多いとチグハグな印象になってしまうんだ
ニャルほど!そのせいでビブラートが変な風に聞こえていたのかも
曲の雰囲気に合ったビブラートって?
具体的にメロディの中でビブラートを考えてみましょう。
トロイメライ
この曲は「夢」というタイトルでテンポは遅く落ち着いた雰囲気、また音域も低いです。
つまり、回数も多くなく、抑揚も大きくないビブラートを基本として考えることになります。
タファネル 「魔弾の射手」の主題による変奏曲 冒頭
オペラのようにドラマチックにスタートするこのメロディの場合、回数も多く、抑揚も大きいビブラートが相応しいです。
ラフマニノフ ヴォカリーズ
基本pで抑揚は小さいのですが、とても感情的で、抑揚の回数は多くなります。
抑圧されていますが、内に秘めた情熱が見え隠れするという雰囲気を、ビブラートで作ることができます。
練習方法
回数を決めよう
最初は音符単位で入れる抑揚の回数を決めて、チャレンジしてみましょう。
回数が少なくて済む、落ち着いたゆっくりな曲の方が、やりやすいです。
♩=60のテンポで、四分音符に4つアクセントが入る程度が、最もゆっくりなビブラートのニュアンスと考えてみてください。
まとめ
自然で魅力的なビブラートをかけるには、曲の雰囲気や、表現したい感情に合った抑揚であることが大切です。
ビブラートの要素を回数と抑揚の2つに分けて考えることで、場面に合わせた具体的な吹き方をコントロールすることができます。
ビブラートは心や感情の動きをダイレクトに表現できるテクニックです。
色々なバリエーションを身につけて、自分の表現したい心情に合わせて自在に表現できるようになりましょう!